私たち一行はスイス・ツォーフィンゲンに
積木のトップメーカー、ネフ社を訪ねました。
家具職人だったクルト・ネフ氏は1958年にネフスピールを発表し、
おもちゃメーカーとしての歩みを始めました。
卓越したデザインとクオリティで高く評価されたネフ社は今では、
「世界一の積木メーカー」として広く知られています。
特に日本では、子どもたちに広く受け入れられていることを
創業者、クルト・ネフ氏はとても喜んでいました。
おもちゃを通して、生涯子どもを愛し続けたネフ氏ですが、
日本に対する思いは格別でした。
悲しいことに2006年11月30日、
クルト・ネフ氏は逝去されました(享年80歳)。
その遺志を継いだ長男・エンゲラー氏が私たちを温かく迎えてくれました。
エンゲラー氏はネフ社の哲学を語ってくれました遊びの体験が、
人間形成に決定的に影響すること。
積木遊びのプロセスを通じで子どもが身につけた成功体験が、
人生に大きく役立つこと。
そのために積木やおもちゃの果たす役割に
大人がより関心を持つべきであること。
そして クルト・ネフ氏の工房へ案内してくれました。
2003年に自然豊かなツォーフィンゲンに移ってから、ネフ氏が晩年おもちゃ作りに没頭した、
その非公開の工房を、私たちにぜひ見ていってほしいというのです。
その日の工房は、暖かな日の光に、やさしく包まれていました。
そして、すべてのものがネフ氏の生前そのままにされていました。
その椅子は今にも、ネフ氏が戻ってきて、作業を始めるかのよう。
エンゲラー氏の息子、工場長のパトリ
ック・エンゲラー氏が用意してくれた私たちへの記念品。
それは「日の丸」の中にスイスの「白十字」を刻印したリグノのピース。
それも、ネフ社の刻印機を使って私たちに刻印を体験させてくれたのです。
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工房から、ほんの少し離れた静かな
丘に、ネフ氏は眠っていました。
ネフさん、これからも、おもちゃと
子どもの未来を温かく見守っていてくださいね。