カルテットの本棚から
絵本を通して見えてくる子どもの内面を受け止めてあげたい。集中できる「最初の一冊」を
初めに目標にしてほしいのは、「最初の一冊」となる絵本を作ってあげること。
表紙を開いて、ページをめくり、読み終わって閉じるまで、じっとそばで聞ける本ですね。
子どもの集中力は、最初は10秒くらいから始まるので、途中で飽きてしまう段階はいくらあってもかまいません。どこかの時期に最後まで集中する体験が一度できれば、あとは自然に絵本を楽しめるようになり、集中力が育っていきます。
子どもの想像力は、絵本から感じた世界に生活体験が加わり、
だんだん深く大きくなっていきます。
子どもの感性が育って自分で絵本を選べるようになるまでは、
人間をつくるために、あるいは親子としての価値観の土台をつくるために、
大人が選んであげてほしいと思います。
「字を読む力」ではなく「イメージする力」を育む。
子どもが字を読めるようになると、自分で絵本を読ませようとしたり、
字を読ませるために絵本を使う方もいますが、幼児は字が読めても、その世界まではわかりません。
また、読めることを大人がほめてしまうと、読むことにしか興味がなくなってしまいます。
でも、絵本を読んで育つのは、字を読む力ではなく「イメージする力」。
絵を助けにして言葉をイメージすることにより、世界が広がっていくんです。
例えば、『しろいうさぎとくろいうさぎ』は、子どもには少し複雑なラブロマンスなんですが、絵が素晴らしい。黒いうさぎの目の奥にある言葉にならない思いが伝わってきて、一生心に残ります。
また『おおきなかぶ』では、構図のおもしろさで子どもたちのワクワク感を引き出します。
イメージする力が育っていくから、字の多い絵本が読めるようになり、本が好きになっていく。字を読むことよりも「読みたい」という思いを育てることの方が大切ではないでしょうか。
絵本は人であり、公園である。
絵本は人。
子どもはいろんな人に接することで育つもの。 画家がいて、作家がいて、ひとつの世界がつくられている絵本にふれることは、 まさに人との出会いです。
たくさんの絵本を読み重ねて育ってきた子どもは、 親が持つ以上の豊かさや人格、知識などを身につけているような気がします。
絵本は公園。 絵本を読んであげていると、今のその子の内面が見えてきます。 それを受け止めてあげることで、絵本は子どもにとって居心地のいい世界に。 子どもの心の中の世界を見せてもらうつもりで、読んであげてほしいですね。
絵本の頒布会「カルテット ブッククラブ」
画像クリックで拡大子どもは、10歳までの間に、愛情に包まれた環境の中で豊かな喜怒哀楽をいっぱい体験することが、一生涯自分で自分を励まし、人のことを思いやるための「心の体力」を育てます。絵本は「心の食べ物」です。わらべうたや遊びを通して人と心を通わせるコミュニケーションは、「心の運動」とも言えますね。しっかり食べて、しっかり運動する。それが必要なのは、体を作る体力や、勉強のための学力だけではなく、それらを支える「心の体力」にこそ大切なのです。 「子どもに絵本を読んであげたいな」そう思ったら、すぐに絵本タイムを始めましょう。 カルテットのブッククラブは、のべ数万人の子どもたちに直接絵本を読み聞かせてきた読み聞かせの実践の中から生まれました。